Column - 2026.04.20

「ケアの倫理と平和の構想」

戦争に抗する・岡野八代(岩波現代文庫)

久しぶりに読んだ感動の書・バイブル!
机の周りに積んである厳選した本からは学ぶことが多いが、本書からは特に、私の関心事である「建築」と「防災」と「まちづくり」と「ケア」を考えるうえで、基礎となるべき、社会学・政治学の叡知を学んだ。そこから最も心に残った部分を抜粋する。

憲法学者笹沼弘志を引用しつつ岡野は

笹沼が論じるように「人権とは国家の目的であり、存在根拠である。国家は手段なのだ」という、近代主権国家が登場した後、人類がようやくたどり着いた叡知である。・・・(これを)権力に対する抵抗原理としてとらえ、フェミニズム理論から、ジェンダーフリー・バッシングと憲法破壊を目指す論議をとらえなおし、そうした論議に対抗するためには、「自律的な個人であることを前提としてきた政治理論や法理論を、「主体」といった根本概念から見直し、私たちがさまざまな世代を通じて育まれ、ケアされ・ケアしつつ他者に取り囲まれて生を送っているといった具体的な諸個人を前提に、近代立憲主義の叡知を練り直す必要性がある」(p174,175から)

すなわち、「主体」の見直し、「憲法」の大切さ、「ケアの倫理」の存在価値が平和の構想にもあること。



「平和」の構想を掲げ、戦う岡野先生の姿勢がうかがえる部分だと思う。先生のこれまでの研究と活動の歩みを通して、国内外の思想、現代政治の論点、気づきの多い書であった。ここからの学びを生かして、今必要とされる「戦争」と「平和」について考える前提としていきたい。

一度Webインタビューさせていただいたときに海外の最新書と思想の把握の様が素晴らしく、多くを学ばせていただいたことが深く印象に残っている。また、別日に対面でお会いさせていただいた際の岡野先生の思慮深い声を思い出しながら、読むことができたことは幸運な体験であった。

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