~中野明安弁護士の講演 @目黒区防災士フォローアップ研修~
3回目の機会でようやく目黒区の防災士フォローアップ研修に参加できた。熱心な防災士の方々が地域における役割を考える機会になっていると感じた。災害対応の市民性を考える場でもあった。さて建築家として、また大学で災害避難所論を教える立場として災害対策基本法について、自分で調べたこととは違い、法律の専門家からの解説は災害支援者の指針になり背中を押してくれる。以下3つのメモ。
■災害対策基本法は、伊勢湾台風(1961年)を契機に作られたが、そのポイントは
- 災害対応は「善意」ではなく、「制度と責任」で行うもの
- 「できる人」がやるのではなく、「やるべき人がやる」
- 「結果責任ではなく役割を果たしたかというプロセス責任が主眼」
とかく「自助」「共助」「公助」とわかりやすく責任を分けることで起きる、責任のなすりつけ、その境界で起こる無責任に注意する必要があることを改めて感じた。
■罹災証明書について:熊本地震支援対応時の実例がいくつか紹介され、罹災証明書は保険の為ではなく、生活再建支援の「入口」であり、罹災証明書がなければその後の多様な支援を受けられない制度設計になっていること。罹災証明書には、被害の程度に応じて一部損壊から全壊、長期避難まで最大で8段階があり(災害の種類で異なってくる)、建物の損壊を基準に照らして判定する場面では建築の専門家の介入が欠かせない。実際熊本地震時には罹災証明発行窓口の横に、土地家屋調査士、建築士等士業の相談窓口が設置され、それが文書化されていた。半壊判定だと支援が少なくなるため、住民の納得感が得られるか、説明不足はないかが、現場の課題としてあるそうだ。また被災者の申請があって初めて交付される申請主義の制度であるため、被災者への情報伝達が欠かせず在宅避難者、広域避難者への告知が重要となる。
つまり罹災証明の発行過程においては、建築士が「やるべき人」に当てはまり、建築にかかわる人々の事前の準備も欠かせない。士会連合等によるよろず相談会でも罹災証明の再調査請求についての相談が多いとのこと。建築の被害状況調査と判定を役場の方々だけで行うことはそもそも無理がある。
■個別避難計画について:最後に高齢者・障害者等の被害実態把握と災害時の福祉・医療・住宅支援の継続に不可欠な罹災証明書制度運用のポイントとなる個別避難計画は、災害対策基本法第49条の14に示され、市町村長の努力義務となっている。しかしこれはやらなくてもいいのではなく、取組む義務はあること(結果は別として)、またセンシティブでプライバシーの高い情報の利用と提供が法律で明示されていることなど、法律の専門家からの発言はとても力強く支援行動の参考になった。
■講演後、少しだけ中野弁護士(丸の内総合法律事務所)と話ができた。専門家としての建築士の支援組織化を勧められこれはまた励みになった。
